(ラグビー・リーグワン1部、3日・秩父宮ラグビー場、東京ベイ29―29埼玉)
リーグワン初代王者の埼玉と、2代目王者の東京ベイの顔合わせ。
強豪対決は、最後まで勝敗の行方がわからない熱戦となった。
試合時間残り30秒、5点を追う東京ベイは左サイドにパスを回した。大外で待っていたのは途中出場のWTB山田響だ。
- 笑わない男・稲垣啓太の原点にある挫折 11年前の敗北がくれた確信
相手防御をはじいた直後に一気に加速し、約50メートルを走りきった。「WTBとして仕事ができた」。大卒2年目のリーグワン初トライで、引き分けに持ち込んだ。
両者は17日から始まるプレーオフ(PO)進出をすでに決めており、POで再び対戦する可能性もある。
前回、昨年12月に対戦した時は埼玉が26―24の接戦を制した。実力が拮抗(きっこう)する両チーム。次にもし対戦するとしたら勝負を分けるのは何か――。
東京ベイのSH藤原忍は、ポイントにラック際の攻防を挙げた。
密集の中での重圧が強く、簡単に球を出させてくれない埼玉の守備。この日、東京ベイが攻め込むもラックでボールをこぼし、好機を逸した場面があった。
「今日は3、4回くらい、ポロポロと(ラックから)ボールがこぼれていた。(取り組むべき対策として)僕からチームにしっかり発信していきたい」
埼玉のFW坂手淳史が課題だと口にしたのはスクラムだった。
試合序盤こそ優位に立っていたが、東京ベイに徐々に対応されて反則も取られた。「自分たちが付け入れられた要因は、スクラム」。堅守を武器とするチームだけに、スクラムで苦しむと出足が鈍ってしまう。短期間での修正が、鍵になる。
痛み分けに終わった両チーム。試合後の取材では反省を口にする選手が多かった。
ただ、試合を通してみると、無駄な反則や安易なミスが少ない、引き締まった80分となった。1万5千人の観客は何度も沸いた。
埼玉のFW稲垣啓太は「ぜひとも、もう一回やりたい」と決着の場を望んだ。